非公式会談の中身公表を迫る
蓮舫氏が民進党の新代表に就任して3ヵ月。そのタレント的人気で党勢回復が図れるかという期待も外れ、むしろ〝やっぱり器ではなかった〟感の落胆が広がりつつある。
安倍首相がトランプ次期大統領と非公式会談した11月18日、蓮舫代表は民進党参院総会で、首相がトランプ氏を「信頼できる指導者だと確信した」と述べたことを強く非難した。
何をもって信頼できるのか、ぜひ詳しく説明してほしい。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について確認はしたのか。駐留米軍の経費の問題など、わが国の国益にかかる話はどこまで主張し、どういう返事があったのか。非公式会談ではあるが、首相は説明する義務がある。
そもそも、現時点のトランプ氏は公職に就いていない私人であり、しかもオバマ政権への配慮も含めた「非公式」の会談である。米国次期政権の先行きを世界中が見通せない状況の中、日米関係の機先を制するべく、きわめてデリケートで重要な外交の一手を安倍首相は打ったわけだ。
いちいち書くことさえ馬鹿馬鹿しいが、危惧する点が少なくない相手だからこそ「信頼できる」と世界に向かって語ることで、軌道修正を促していくのが外交であり、安倍首相の行動と発言はきわめて賢明である。
蓮舫代表の発言は、とても政権政党を目指す野党第一党の党首とは思えない軽さだ。
さすがに呆れたのか、同じ18日、民進党の長島昭久・元防衛副大臣は自身のツイッターで、安倍首相の会談を率直に評価した。
90分というのは、通訳を介してもかなり長い。通常の首脳会談でもこれほど長くない。何が話されたかに興味は尽きないが、ケミストリーの合わない相手にこれだけの時間を費やすとは考えられないし、親日のペンス次期副大統領の陪席が大きかったと思う。同盟強化と共に日露に多くの時間を割いたと見た。(長島昭久氏のTwitter)
「点火プラグを土産にしろ」
蓮舫代表はさらに11月24日の参議院TPP特別委員会で質問に立ち、安倍首相がトランプ氏との非公式会談の詳細を明らかにしないことを非難した挙句、今度は首相がトランプ氏にゴルフのドライバーを贈ったことに嚙みついた。
そして、自動車の点火プラグを手に持って、
こういう日本の世界に誇れる技術の部品をお土産に持っていき、むしろ雇用を増やすことになるのだと議論すべきではなかったか。
と詰め寄ったのだった。
その会談内容を公表せよと国会審議で迫ることも愚かなら、一方で会談内容が不明だと非難しながら、他方で勝手に内容を憶測して首相を非難する支離滅裂。ネット上では、「その前に公表すべきなのは、蓮舫氏自身の戸籍謄本では?」という意見が溢れた。
国会にわざわざ点火プラグを持参して、これを次期大統領への土産にすべきだったと言うに及んでは、ワイドショーのネタになることを意識した安っぽいパフォーマンス以外の何物でもない。
政治家としてあまりにも軽い。ゆえに、民進党の支持率も一向に伸びない。
この11月29日にガジェット通信が第1回「ガジェット通信おまいう大賞2016」の投票結果を発表した。
これは、思わず「お前が言うな!」とツッコミたくなった今年の呆れた人物を投票で選ぶものだった。舛添要一氏や鳥越俊太郎氏らツワモノを退け、ぶっちぎりで「大賞」に輝いたのは蓮舫氏である。
関連記事:
「野党共闘」という矛盾――理念なき数合わせに高まる批判(ライター 松田 明)
野党の惨敗で終わった衆院補選――「野党統一候補」が拒否された2つの理由(ライター 松田 明)