横領した金をギャンブルで使い果たす
統一地方選挙で大躍進したものの、連日のように不祥事が噴出してきた日本維新の会と、その母体である大阪維新の会。あいかわらず大阪を中心とした近畿圏では存在感を放っているが、支持率に陰りも見え始めている。
10月22日――
任期満了に伴う奈良県橿原市の市長選挙がおこなわれた。奈良県は日本維新の会奈良県総支部代表・山下真氏が知事を務める。
結果は、自民党が推薦する無所属で現職の亀田忠彦氏が、日本維新の会公認の元市長・森下豊氏を大差で破って2度目の当選を果たした。森下氏は橿原市長を3期務めたが、前回の市長選でも亀田氏に敗れている。
奈良県では、日本維新の会の前川清成衆院議員(比例近畿)が9月26日に議員辞職を表明したばかり。公職選挙法違反で一審・二審とも有罪判決を受け、最高裁に上告しながら次期衆院選で奈良1区からの出馬を検討しものの、地元の理解が得られなかった。
10月25日――
奈良県警は日本維新の会の元斑鳩町議だった大森恒太朗容疑者を、業務上横領の疑いで再逮捕した。
大森容疑者は自身が会計係を務める自治会費から20万円を横領した容疑で逮捕されていたが、新たに約768万円を横領していたとして再逮捕されたもの。
大森容疑者は容疑を認め、「ギャンブルなどの私用目的のために横領し、全て使い果たした」などと供述しているという。(「朝日新聞デジタル」10月25日)
謝罪、謝罪、そしてまた謝罪
時系列は前後するが、日本維新の会はこの10日間ほどのあいだに何度も謝罪を繰り返す羽目にもなった。
10月19日――
次期衆院選で日本維新の会から東京4区に立候補を予定している医師の石川雅俊氏が、自身のX(旧ツイッター)に謝罪の投稿をした。
私が配布をしたチラシについて、厳しいご指摘がありました。SNSトレンドになったキーワードをきっかけに税制・税負担を論じることを企図したものでしたが、多くの方に不快な思いをさせ、軽率であったと反省しています。できる限り回収し、これ以上の頒布は行いません。誠に申し訳ありませんでした。(10月19日の石川氏のポスト)
石川氏は「機関誌 日本維新」号外という体裁でチラシを作製。だが「増税メガネとは?」と大書したそのチラシに対し、医師でありながら身体的特徴や医療用具を揶揄に使うのかとか、対立候補となる自民党の平将明議員の眼鏡に似せたイラストではないかといった批判が噴出したのだ。
10月23日には、日本維新の会の音喜多駿・政調会長が岸田首相に、自分を含めた日本維新の会の所属議員が「増税メガネ」という揶揄を繰り返してきたことを謝罪した。
岸田総理にはこの際に直接「私を含め、我が党の所属メンバーが総理の容姿を揶揄するような発信を繰り返し、誠に申し訳ありませんでした」と低頭謝罪を致しました。(10月23日の音喜多氏のX)
その音喜多氏、首相との面会のあとでサウナに行ったそうで、「体重が絞れた」と自身が乗った体重計の表示画面を写メしてXに投稿した。
ところが、全裸で乗っていたらしく、写ってはならないものが体重計の画面に反射する形で映り込んでいたのだ。当然、SNS上では炎上。
そもそもサウナや銭湯、ジムの更衣室などでは通常、盗撮などを防止する観点からも撮影はもちろん、スマホの使用そのものを禁じているところも多い。
あわてて投稿を削除した音喜多氏は、再び軽率な行為を謝罪することとなった。
何も答えられない幹事長
10月22日――
ビジネス動画メディア「ReHacQ」で公開された動画が波紋を広げた。日本維新の会の藤田文武幹事長と「2ちゃんねる」開設者の西村博之氏(通称ひろゆき)のやりとりである。
「維新が昔から言っていたキレイごとに割と期待していた」と前置きしたひろゆき氏は、大阪万博をめぐり今や維新が現状維持の微調整をやっている利権構造そのものだ、と問いただした。
ひろゆき氏から「万博、大成功する自信あります?」と問われた藤田幹事長は、笑いながら「何をもって大成功かは、ちょっとあの……」と反論しかけたが、ひろゆき氏から「いや、何をもって成功なのか逆に聞きたいです」と突っ込まれる。
藤田幹事長は「それは経済効果」と言うものの、「経済効果、どうなったら成功ですか?」と問い直されると、姑息にも話を逸らせた。
もちろん、ひろゆき氏はそれには乗らず、「経済効果がどうなったら成功なのか」「大阪万博の話を幹事長が今すぐ言えないの、おかしくないですか?」と問い詰めるが、藤田幹事長はニヤニヤと笑って口ごもるばかりである。
再三にわたって問われると、ようやく「それは多くの人が海外からも国内からもにぎわって……」と言いかけるが、「多くの人って何人ですか?」と問われると、また目を泳がせて答えに窮してしまう。
収支のざっくりした金額の数字でも考え方でもいいから答えるよう促されるが、「ごめんなさい。数字が頭に入ってないので」と何も返答できない。
ひろゆき氏から「維新の幹事長ですよね? 成功の目標決まってなくてやってるんですか?」と問われても、藤田幹事長は目をきょろきょろさせて「エヘヘ」と笑って黙り込んでしまうのだ。
【ひろゆきvs維新】戦慄!ロシア&万博で大激論(「ReHacQ」)
「改革のイメージに逆行する」
維新幹部が「無駄削減の改革イメージに逆行する」と、最も頭を痛めているのが万博の会場建設費問題だ。(「読売新聞オンライン」10月30日)
大阪万博の誘致は日本維新の会が掲げた「大阪の成長戦略」の目玉だった。橋下徹氏と松井一郎氏が誘致に奔走したその舞台裏は、松井氏の著書『政治家の喧嘩力』の第3章にある「万博誘致はリスクの大きい賭けだった」という節にも綴られている。
維新のややこしさは、地域政党である「大阪維新の会」(代表は吉村洋文・大阪府知事)が母体となって国政政党の「日本維新の会」(代表は馬場伸幸衆議院議員)があり、吉村知事がその共同代表も務め、一方の馬場代表は大阪維新の会の副代表を務めているという複雑な入れ子構造にも起因する。
知事も市長も大阪維新の会が担う大阪府と大阪市は、10月27日に万博を主催する日本国際博覧会協会(万博協会)の担当者と府庁で面会。建設費が再増額する見通しとなった件について、その根拠を示すよう求めた。
だが、そもそも吉村知事その人が、増額を求めている万博協会の副会長なのだ。本来なら、吉村知事が増額の根拠について説明を求められる立場。それが協会担当者を府庁に呼びつけ、あえてマスコミに公開する形で「説明が不十分」と根拠を求めたことに批判が巻き起こっている。
維新が誘致を主導した万博では、会場建設費が想定の2倍近い2350億円に膨らむ見通しとなった。維新は「万博は国家イベントということが前提だ」(馬場氏)などと、国に責任転嫁する姿勢を強めている。(「読売新聞オンライン」10月30日)
立憲民主党の泉健太代表は10月27日の記者会見で、こうした維新の姿勢を批判した。
大阪万博は国の事業ではあるけれど、誘致はむしろ市と府がやってきたわけですよね。その中核はやっぱり維新が担ってきたわけであって、これを起爆剤にしようとか、いろんな思惑もあって、ここまで取り組んできたものですから、責任は持ってもらわなきゃいかん。
(中略)
身を切ると言っていて、ちいちゃなちいちゃな少額の議員の報酬を切ったふりをして、片一方で国費と大阪の税金を大量に流してしまっているとしたら、全然それはトータルで切ったことにならない、むしろ太ったことになる。(立憲民主党Youtubeチャンネル)
「日本維新の会」関連記事:
維新の不祥事は平常運転――横領、性的暴行、除名、離党
維新「二重報酬」のスジ悪さ―まだまだ続く不祥事
やっぱり不祥事が止まらない維新――パワハラ・セクハラ・カネ
維新、止まらない不祥事――信頼を失っていく野党②
「維新」の強さ。その光と影(上)――誰が維新を支持しているのか
「維新」の強さ。その光と影(下)――〝強さ〟がはらむリスクと脆さ
「立憲民主党」関連記事:
「立憲共産党」の悪夢ふたたび――立憲民主党の前途多難
立憲民主党を蝕む「陰謀論」――もはや党内は無法地帯
手段が目的化した立憲民主党――信頼を失っていく野党①
立民、沈む〝泥船〟の行方――「立憲共産党」路線が復活か
民主主義を壊すのは誰か――コア支持層めあての愚行と蛮行
旧統一協会問題が露呈したもの――宗教への無知を見せた野党
憲法無視の立憲民主党――国会で「信仰の告白」を迫る
枝野氏「減税は間違いだった」――迷走する野党第一党
2連敗した立民と共産――参院選でも厳しい審判
まやかしの〝消費減税〟――無責任きわまる野党の公約
ワクチン接種の足を引っ張る野党――立憲と共産の迷走
「日本共産党」関連記事:
それでも「汚染水」と叫ぶ共産党――「汚染魚」と投稿した候補者
「風評加害者」は誰なのか――〝汚染水〟と騒ぎ続ける人々
共産党VSコミュニティノート――信頼を失っていく野党④
孤立を深める日本共産党――信頼を失っていく野党③
日本共産党と「情報災害」――糾弾された同党の〝風評加害〟
「革命政党」共産党の憂うつ――止まらぬ退潮と内部からの批判
共産党「実績横取り」3連発――もはやお家芸のデマ宣伝
暴走止まらぬ共産党執行部――2人目の古参党員も「除名」
日本共産党を悩ます〝醜聞〟――相次ぐ性犯罪と執行部批判
書評『日本共産党の100年』――「なにより、いのち。」の裏側
日本共産党 暗黒の百年史――話題の書籍を読む
日本共産党と「情報災害」――糾弾された同党の〝風評加害〟
日本共産党と「暴力革命」――政府が警戒を解かない理由
宗教を蔑視する日本共産党――GHQ草案が退けた暴論
宗教攻撃を始めた日本共産党――憲法を踏みにじる暴挙
西東京市長選挙と共産党―糾弾してきた人物を担ぐ
「共産党偽装FAX」その後―浮き彫りになった体質
北朝鮮帰国事業に熱心だった日本共産党の罪