「もっとしっかり汚染魚を食べて」
日本共産党は9月11日、次期衆議院選挙で広島6区の立候補予定者にしていた村井明美氏(元福山市議)の擁立を取り下げると発表した。同日、小池晃書記局長が会見で明らかにしたもの。
村井氏は9月7日、日本の魚をもっと食べようとX(旧ツイッター)で呼びかけたジャーナリストの投稿に対し、
どうぞ、もっとしっかり汚染魚を食べて、10年後の健康状態をお知らせください。(村井明美氏の9月7日の投稿。現在は削除)
などと投稿。あまりにも心無い言葉に、他の野党などからも厳しい批判を浴びていた。村井氏は翌日になって党からの指示で投稿を削除し、自身のブログで謝罪した。
この村井氏は過去にも自身のXに天皇家のことを、
天皇家は、自分の親族も抹殺しながら権力を集中してきた部族です。万世一系どころか、途切れ途切れた系譜で、殺戮の果てに残ってきた氏族です。(2022年1月6日のXへの投稿)
と書き込んだり、小室眞子さんの義母にあたる小室圭さんの母親を中傷する第三者の投稿に繋げて、
怖い顔やわ。(2020年11月14日の投稿)
と母親の顔を中傷したりしてきた。
他にも、吉村洋文大阪府知事の顔について、「顔の中心部が緩んでいて、知性を感じませんから」(2022年1月6日)など、他者の顔を誹謗中傷する投稿を何度も繰り返しては炎上してきた〝いわくつき〟の人物だった。
日本共産党はそんな人物を衆議院選の候補者に立てていたのである。
それでも「汚染水」と呼び続ける
11日の会見で小池書記局長は、
「党の認識と見解とは全く反する中身だ。発信直後に削除と謝罪を指示した。村井氏から(出馬を)『辞退したい』と申し出があった」と強調した。
一方、小池氏は共産が用いてきた「汚染水」との表現は引き続き使う考えも示した。(『産経新聞』9月11日)
日本共産党は、海洋放出されているALPS処理水について「汚染水」という表現を一貫して使い、人々の不安を煽り続け国際社会へ風評加害を広げている。
だからこそ村井氏も「汚染魚」という言葉を使ったのだろうが、小池書記局長の弁明では、
汚染魚という、要するに日本近海にいる魚は、もう汚染されているっていうようなね、われわれはそんなことを一言も言ったことがありませんから、これは党の認識とも見解とも全く反するということ(『産経新聞』9月11日)
と述べた。日本近海の魚が汚染されているというのは党の見解ではないらしい。
それならIAEAが「人体や環境への影響は無視できるほど」と公表したALPS処理水を執拗に「汚染水」と呼ぶことをやめるべきではないのかと記者に問われると、
原発事故に伴うさまざまな核種が含まれている。そういう水を放出したってことは歴史上ないわけですから、それについてやはり汚染水という呼び方をするということ自体は科学的な根拠がある(同)
と反論した。
海洋放出は世界の標準的慣行
なお処理水に関しては、先般のASEAN関連首脳会議でもG20サミットの場でも岸田首相から説明があり、各国からも日本の立場を支持する声が相次いだ。
放出開始直後に一部の日本産食品への監視検査を実施したマレーシアも、アンワル首相が岸田首相との会談で日本の説明に理解を示した。
インドネシア原子力規制庁、タイ保健省食品・医薬品局も国民に安心を呼びかける声明を発表。シンガポールでも中立的で冷静な報道が続いている。
サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東諸国でも客観的で冷静な報道がなされている。
ヨーロッパでも各国の対応はきわめて冷静で、ハンガリーでは「放射性物質を含む水ではないことをしっかりと認識するべきだ。適切な処理を行った上で人体や環境に影響がない状態にしたものが放出されているので、気にする問題ではない」(8月27日のラジオ放送)、「処理水自体が放射能を有したものではないし、国際機関から人体や環境に影響を及ぼすレベルではないことが確認されている。全く憂慮するものではない」(安全保障が専門の元駐NATO大使/8月28日のテレビ番組)と報道。
イギリスの外務・英連邦・開発省も8月31日にリリースを発表し、
◆英国は、このような行動をとる日本政府を全面的に支持する。
◆英国政府は、国際原子力機関(IAEA)のモニタリングと、日本による福島第一原子力発電所からの処理水の放出が安全であり、国際的に受け入れられている原子力安全基準に合致しているという判断に全面的に満足していることを改めて表明したい。
◆英国は、トリチウムが水に含まれて放出されることは通常の性質を有することであると強調したい。これは世界の原子力産業における標準的な慣行である。
(英国政府「日本の福島第一原子力発電所からの処理水の放出について」)
との声明を出した。
「汚染魚は科学的根拠がない」
日本共産党が「汚染魚」発言をした候補者を降ろしたことについて、国民民主党の玉木雄一郎代表は12日、「なぜ汚染水がOKで汚染魚がダメなのかよく分からない。それであれば、汚染水という人は全員公認を外すべきではないか」と疑問を呈した。誰もがそう思うだろう。
このことを13日の会見で指摘された小池晃書記局長は、
汚染魚は科学的根拠がない。魚が汚染されているという科学的なデータはない。科学的根拠のないことを言うべきではない(『産経新聞』9月13日)
汚染水あるいはアルプス処理水という言い方をしているのには根拠がある。今、出されているアルプス処理水は解け落ちたデブリ(溶融核燃料)に接した水だから、トリチウム以外にもさまざまな核種が含まれている(同)
と弁明した。
要するに、日本共産党はALPS処理水が放出されても「魚が汚染されているという科学的なデータはない」ことをわかっているのだ。
処理水を放出しても魚が汚染されないのであれば、健康被害が生じるはずもなく、処理水を放出するなという理屈は成り立たない。
魚が汚染されることはないが、デブリに接した水だから汚染水と呼んでいいという日本共産党の言い分は、もはや子どもの屁理屈のようなものだ。
日本の水産物が汚染されているなどと科学的に言えないことを知っている日本共産党。わかっていて、それでもなお「汚染水の海洋放出反対」と人々を扇動し、不安を国の内外にまき散らす。
党利党略から風評被害を拡大させ、日本の漁業関係者らを苦しめ、関係機関の努力をあざ笑うように国益を損ね続けているのである。
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