<感動の再会を報じる『公明新聞』(4月7日付)>
政府を動かした公明党の提言
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、まもなく2カ月。ウクライナ政府の発表では既に2万人以上の一般市民が犠牲になり、国外への退避を余儀なくされた避難民は4月15日時点で480万人を超えている(国連難民高等弁務官事務所発表)。
米国のサリバン大統領補佐官は戦闘が「数カ月間あるいはそれ以上長く続く」(「CNN」4月16日)と発言。ブリンケン国務長官も今年末まで戦闘が続く可能性があるとの判断を示している。
これまでも世界の各地で多くの紛争はあったが、一国が他国の領土を侵略するという意味では、今回のロシアによる侵攻は第二次世界大戦後で稀に見る非常事態だ。
公明党は3月14日の時点で、日本への避難民受け入れについて政府に緊急提言を申し入れた。
ウクライナからの避難民が増える中、公明党は、日本に親族や知人がいない場合でも受け入れられるよう、身元引受人を不要とするなど新たな制度を求める緊急提言を政府に申し入れ、松野官房長官は早急に対応を検討する考えを示しました。(「NHK NEWSWEB」3月14日)
日本政府は3月18日の連絡調整会議で、公明党の要望にほぼ沿った内容の支援策を発表。さらに特使として林外務大臣がポーランドを訪問した際、政府専用機の予備機で日本への入国を希望する避難民を日本に移送すると決めた。
4月1日の参議院本会議では、元外交官でもある公明党の高橋光男議員が代表質問に立ち、今後ロシアやベラルーシから撤退・帰国を希望する邦人の保護にも政府として全力で対応するよう求めた。
また、国連の常任理事国であるロシアが国際秩序の根幹を破壊する暴挙に出た今、G7(先進主要7カ国)が結束して対処することの重要性に言及。日本はG7のなかで唯一、NATO(北大西洋条約機構)に属さない国であり中立的な立場で関与しうることを挙げ、ウクライナの安全保障のためにNATOとロシア、関係諸国の交渉が前進するよう働きかけることを提案した。
さらに12日の参議院外交防衛委員会でも高橋氏は、ポーランド以外の周辺国にいるウクライナ避難民についても、日本への渡航ができるよう継続的に支援していくよう林外相に求めた。
長期化を見据えて対策本部を設置
公明党は事態の長期化を見据え、党内に「ウクライナ避難民支援対策本部」を設置。対策本部長に谷合正明・参議院幹事長、事務局長に石川ひろたか・参議院議員、事務局次長に高橋光男議員が就いた。
谷合氏は国会議員になる前、国際医療ボランティア組織AMDAの職員として各国の難民支援にあたってきた経歴を持つ。石川氏も1996年に外務省に入省したあと、シリアやイラクなど中東地域で長く勤務してきた元外交官。
4月12日に記者会見した山口那津男代表は、今後も日本への避難民が増える見通しに触れて、慣れない土地での生活を余儀なくされる避難民に寄り添った支援が必要になると指摘。政府と連携をとりながら避難民が暮らす各自治体につないで継続的な支援をおこなっていく決意を述べた。
4月15日、「ウクライナ避難民支援対策本部」の初会合が参院議員会館で開催され、谷合本部長からは、
避難民支援を含む人道支援は、わが国の安全保障環境の強化とともに、国際秩序、国際環境の改善に資するものだ。(「公明ニュース」4月16日)
との発言があり、全力で対応する考えが示された。
日本に入国したウクライナ避難民は、4月15日の時点で400人を超えている。住宅や医療、教育、就労、日本語教育など、必要な生活支援は多岐にわたる。
日本はこれまで難民の受け入れに極めて消極的であることが、しばしば非難されてきた。
岸田首相は16日、今回は人道的な見地から「避難民」として受け入れているが、ダブルスタンダードにならないよう、難民に準ずる形で受け入れるよう法務省内で制度の検討を進めていることを明らかにした。
大阪国際空港に降り立った母子
日本の政党のなかで公明党だけが持つ強みが、「チーム3000」と呼ばれる議員のネットワークだ。全国に約3000人いる地方議員と国会議員が、フラットな関係で緊密に連携している。
今般のウクライナ危機にあっても、じつはこの公明党のネットワークが大きな役割を果たしている。日本で暮らすウクライナ人や周辺国にいる邦人などから、さまざまなルートで各地の公明党議員のもとに相談が寄せられているのだ。
4月5日、政府専用機で羽田に到着した避難民のうち、さらに国内線に乗り換えて大阪空港に移動したビクトリア・ロマショバさんと息子のアンドレイ・バグライさん(13歳)の様子をメディアで見た人も多いだろう。
大阪空港ではビクトリアさんの母親で20年前に来日した重山ネリさんと夫の保人さんが2人を出迎えた。
重山さん夫妻は大阪府吹田市在住。娘と孫が当時はロシア軍に包囲されていたキーウに取り残されていた。夫妻は2人を日本に退避させたい胸のうちを3月23日に隣人の公明党支持者に相談。そこから地元・吹田市の野田泰弘市議を通して、情報は即座に石川ひろたか参議院議員に共有された。
石川氏は外務省に打診し、2人の退避を支援するよう在ポーランド日本大使館に要請。戦火のなかを国境まで数百キロを車と徒歩で移動する母子の状況は、逐次ポーランドの日本大使館に伝えられ、大使館はルートの指示などきめ細かなサポートをおこなった。2人は3月27日にはポーランドにたどり着くことができた。
その後、滞在場所の確保や日本への入国に必要なビザの発給など日本大使館が対応。政府専用機に搭乗して無事に羽田に着き、重山さん夫妻の待つ大阪国際空港へと移動した。
大阪空港では重山夫妻と一緒に石川ひろたか議員が母子を出迎えた。市議会公明党のはたらきかけもあり、今後は吹田市が住宅や生活の支援をおこなっていく。
国や自治体は大枠の支援策は策定できても、個々の避難民へのきめ細やかな対応は、まさに「小さな声を聴く力」がないとできない。
竹谷とし子・参議院議員も都議会公明党の議員らと連携して、都内の都営住宅に入居した避難民のもとを訪ねるなど、生活に寄り添った支援に奔走している。
立教大学大学院教授で認定NPO法人「難民を助ける会」会長の長有紀枝(おさ・ゆきえ)氏は、
今後、停戦が実現したとしても避難民が帰還するためには、地雷や不発弾の除去を含め、相当の復興支援が必要です。私たちも地雷除去活動に携わっており、対人地雷やクラスター爆弾の問題に長年尽力してきた公明党と共にウクライナ復興に取り組んでいきたい。
アフガニスタンなどから逃れ、日本に助けを求める難民も多くいます。今回のような支援をウクライナだけで終わらせてはいけません。こうした人道問題にこそ公明党の存在感を示してほしいと願っています。(『公明新聞』4月17日)
と公明党へのさらなる期待を語っている。
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